見出し画像

マネジメントに高尚な理論は要らない?〜「勝ち続ける組織」を作るマネジメント術とは〜

「その人のキャリアを作るなんて壮大なことはできない。マネジメントはそんな高尚なものではない。」と語るジェイさん。
今回の対談では、私たちが漠然と抱いていたマネジメントへの違和感をジェイさんが見事に言語化してくれました。

「営業的マネジメント術」「静的マネジメントと動的マネジメント」「動的な状況に対応するための共通言語」など、ジェイさんが展開するマネジメント論は、セールスチームのマネージャーにとどまらず、一広報担当である、私にとっても多くの気づきや学びをもたらすものでした。

本記事では、スタートアップのBizチームで奮闘するマネージャー歴1年目の当社の林が、ジェイさんに赤裸々に悩みをぶつけた様子をお届けします。
この記事が、皆さまの課題解決のヒントとなれば幸いです。

▼プロフィール

ジェイ / 株式会社EVeM 事業開発セールス Business Development Sales Director
ーーー
・鈴木純太、通称:ジェイ
・企業成長を支える「グロース請負人」
・営業立ち上げ支援、企業向け研修、営業スクールの講師などを務める
・講演、登壇、メディアでの取材も多数
・Voicyにてラジオを4年以上平日毎朝配信中!
ーーー

林 愛子(はやし あいこ) / 株式会社スリーシェイク Incubation事業部 Securify bizチームマネージャー
ーーー
・1988年名古屋生まれ、岐阜育ち
・ワーママ(プリンセス大好き3歳児の育児に癒され中)
・座右の銘は「No Pain No Gain」
・リクルート代理店(人材)3年→ITベンチャー、スタートアップ複数社で営業を経験→スリーシェイク(SaaS)4年目
ーーー



「マネジメントを定義しよう」EVeM流 4つのマネジメント定義


林:
本日はよろしくお願いします!改めて自己紹介をお願いします。

ジェイ:現在、EVeMでセールスの責任者を務めている鈴木です。
ビジネスネームとして「ジェイ」という名前で呼ばれています。

これまでのキャリアは、主にベンチャーやスタートアップに携わることが多く、4〜5社ほど経験してきました。
営業をしながら採用やチームビルディングを行い、初期のグロースを推進するというところが好きで、そういったフェーズの企業でチャレンジを重ねています。
本日はよろしくお願いします!

ーーーマネジメントとは?

ジェイ:マネジメントの定義が会社や個人によって大きく異なることが第一前提にあると思います。
例えば、マネジメントについて尋ねると、「ピープルマネジメントだ」「戦略を立てることだ」など、人によってさまざまな答えが返ってくると思います。
そこで、EVeMではまず「マネジメントを定義しよう」というところからスタートしました。

私たちの定義では、マネジメント業務を「執行」「活用」「伸張」「連携」の4つに分けています。

林:  この4つに定義されると、とても分かりやすいですね。
自分が今どこを頑張るべきか見えてきます。

ジェイ: そうなんです。この基準があると、例えば「執行」ばかりやっていて他の部分が手薄だなとか、「連携」がうまくいっていないなと振り返るきっかけになりますよね。

林: 営業みたいに数字で成果が見えるわけじゃないからこそ、こういった基準があると判断しやすくなります。

ジェイ: そうですね。営業には「売上を達成する」という明確な目標がありますし、今ではそのための手法やプロセスが体系化されています。
体系化されているからこそ、営業のスキルやノウハウがどんどん蓄積されて、レベルアップが進んでいますし、営業に携わる人も増えているんだと思うんです。

一方で、マネジメントはその定義やアプローチが人によって異なり、曖昧な部分が多いです。
だからこそ、マネジメントにおいては、まず明確な定義を作ることが重要だと考えています。


「勝つこと、勝ち続けることが大事」営業的マネジメント術とは?


林:チーム全体に小さな炎のような熱意があるんですが、それをもっと大きな炎に育てていく方法を見つけたいと考えています。
そのためのアプローチについて伺いたいです。

ジェイ:営業に置き換えて考えると良いかもしれません。
とくにエンタープライズ営業の視点が参考になると思います。
メンバーを顧客と見立ててみるんです。

たとえば、エンタープライズ営業では推進者を見つけて、その後、横断的なイベントや会議を計画して、影響を少しずつ広げて行きますよね。
仮説を立て、戦略を構築して、検証しながら都度調整を加えて、少しづつ火種を広げていく。
この考え方は組織作りにも当てはまると思います。

ジェイ(鈴木純太) / 株式会社EVeM 事業開発セールス Business Development Sales Director

林:これまで営業とマネジメントを、まったくの別物として考えていました。面白い!

ジェイ:営業の経験から学べることは多くて、チーム全体をどう動かすかという視点にも応用できると思います。
さらに、営業と同じように「目標達成」を第一に考えることが重要です。

「勝つこと」「勝ち続けること」が大事なので、目標を達成するために、どのメンバーに何を任せてどう配分してどういう勇気づけをするかを考えます。
キングダムの武将みたいなイメージです(笑)

林:「勝つこと」を軸に考える!
これまで、その人のモチベーションとか課題解決みたいなところにフォーカスしすぎてました。
私自身、自分の手で誰かのキャリアをなんとかしたいとか、なんとかできるとか考えていなかったのでとてもしっくりきます。

ジェイ:その人のキャリアを作るとか、そんな壮大なことはできないと思うんです。
マネジメントはそんな高尚なものではなくて、営業と一緒だと考えています。

いい営業って、お客さまの言うことをただ受け入れるわけじゃないですよね。
時には「それは違いますよ」と伝えたり、必要に応じて意見することもあります。
それって、マネジメントと同じだと思うんです。
ただ相手のニーズを聞くだけではなくて、相手にとって本当に必要なものを考えて提案する。

マネージャーの役割は、メンバーがやりたいことを叶えるためにいるわけではなくて、プロジェクトを通じて目標を達成するために必要な役割を考えたり、その人がやりたいことを把握した上で、プロジェクトを活用してもらうようにすることです。
それが結果としてうまくいけば、みんなハッピーですよね。

林:今日からすぐ実践します!
「目標達成」を第一に考えながら、しっかりと戦略を立てて取り組んでみたいと思います。

ジェイ:いいですね。戦略をしっかり立てることで、最終的な目標である売上に向かう道筋が明確になります。
逆に、戦略がないと、矢印(行動や施策)がどの数字(目標)を目指しているのかが曖昧になってしまい、全体像が見えなくなります。

だからこそ、戦略を立てたうえで、それに基づいて達成度を測れる具体的な数字を設定しておくことが大切です。それがKPIです。
ただし、戦略がなければKPIは「ただの数字」に過ぎず、目標達成のための指標として機能しなくなってしまいます。


「静的」なマネジメントと「動的」なマネジメント


林:私が所属している事業部では「育成はしない」と決めているんです。
成長したい人が自分で成長できるような環境を整えることを大事にしています。
一方で、「マネジメント=育成」という考え方が一般的に挙げられることが多いように思いますが、この点についてはいかがでしょうか?

林 愛子(はやし あいこ) / 株式会社スリーシェイク Incubation事業部 Securify bizチームマネージャー

ジェイ:マネジメントは大企業文脈で語られることが多く、その場合「マネジメント=育成」という考え方が主流になる傾向があります。
事業が安定し、戦略が整備されている企業では、人材育成が直接的に売上向上につながるモデルが構築されているからです。

これは僕の感覚の言葉なのですが、「動的」と「静的」というイメージがあって、例えば静的なマネジメントは、目標管理システムや、ルールベースで進める方法を指します。
それに対して、スタートアップは現状がどんどん変わるので、動的なマネジメントでないと対応しきれないと考えています。

どちらが優れているとかではなく、それぞれに難しさがあり、適したマネジメント方法を選ぶ必要があります。

林: 大企業とスタートアップではマネジメントの捉え方が大きく異なりますね。
動的なマネジメントを実践する上で、とくに重要なポイントはありますか?

ジェイ: 例えば、会社のフェーズが進み人員が増えてくると、育成が必要不可欠になってきます。
今は「目標達成を最優先」としていても、成長するにつれて優先すべき課題が変わっていきますよね。
そこで、基準や方向性が共有されていないと、社員それぞれが感覚で動いてしまって「目標達成が大事だ」という人もいれば、「育成が大事だ」という人も出てきます。

だからこそ、会社のフェーズに合わせて「今はこれが重要だ」という認識を全員で合わせる必要があります。
動的な状況に対応するための共通言語を作り上げていくことが、組織がスムーズに進むためには大切だと考えています。

林: 私が所属している事業部では、部長が定期的に「今はこれが重要だ」というような話をマネージャー陣に共有してくれています。
私はきっと、それをメンバーにうまく共有できていなかったと思うので、決定事項だけではなくて背景やロードマップも含めて、しっかり伝えていきたいと思います。

ジェイ: そうですね。
スタートアップでは、今のフェーズに合った方針を全員が理解していれば、スムーズに進むはずです。


今後の展望


林: では、最後にジェイさんの今後の展望をお願いします!

ジェイ:僕は、不確実性の高い若いフェーズのベンチャーで営業をしながらマネジメントをする、そういう環境がやっぱり好きですし、今まで取り組んできました。
まだまだ現場で経験を重ねる時期だと思うので、自分自身で営業やマネジメントを実践しながら、さまざまなベンチャー企業や組織と関わって、経験を固めていきたいです。
それが本として纏まっているのか、研修プログラムになるのかはわかりませんが、最終的には「01フェーズの営業マネジメントについてはジェイに聞けばいい」と思ってもらえる存在になりたいと考えています。

林: 私は、今日の対談で、まずやるべきことが2つ見えてきました。
1つ目は、ロードマップや背景、考えをしっかりブレイクダウンして、メンバーに伝えていくことです。
2つ目は、メンバーをお客さまと捉え、やりたいことを把握した上で、プロジェクトを活用してもらうようにすることを考えていきます。
メンバーの強みを引き出すマネージャーになりたいと思います!

ジェイさん、本日はありがとうございました!


おわりに

スリーシェイクでは一緒に働く仲間も募集しております。
ご興味があればぜひご応募ください。

最後まで読んでいただきありがとうございました。